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技術コラム

ステンレス切削加工の基礎|材質や加工時の注意点までご紹介

ステンレスは、錆びにくく耐久性に優れていることから、様々な製品に用いられる金属です。本コラムでは、ステンレス切削加工について、材質の特徴や種類、ステンレスを選ぶ理由、用途、加工時の注意点などを詳しく解説していきます。

ステンレスとは?材質の特徴と種類

ステンレス鋼は、鉄を主成分にクロムを10.5%以上含む合金鋼です。クロムが酸化することで表面に不動態皮膜と呼ばれる薄い膜を形成し、これが錆を防ぐ役割を果たします。ニッケルやモリブデンなどの元素を添加することで、さらに耐食性や強度を向上させることができます。

ステンレス鋼の特徴としては、まず優れた耐食性が挙げられます。これは、酸や塩分、湿気などに対する高い抵抗力を持ち、錆びにくいことを意味します。また、高温や低温にも強く、幅広い温度環境で使用できることも特徴です。さらに、強度が高く、耐久性に優れているため、長期間の使用に耐えることができます。美しい光沢を持ち、高級感があることも魅力です。衛生面にも優れており、清掃が容易で、食品加工や医療分野などでも安心して使用できます。リサイクル性も高く、環境負荷の低減に貢献できる点も重要な要素です。

ステンレス鋼は、組織構造や組成によって大きく3つの種類に分けられます。オーステナイト系ステンレス鋼は、ニッケルを含み、非磁性で耐食性、溶接性、加工性に優れています。フェライト系ステンレス鋼は、クロムを主成分とし、磁性があり、耐食性に優れています。マルテンサイト系ステンレス鋼は、炭素を含み、硬くて強度が高いですが、耐食性は他の種類に比べて劣ります。

ステンレスを選ぶ理由

ステンレスが様々な製品に用いられる理由としては、高い耐食性、優れた耐久性、衛生面の良さ、美しい外観、リサイクル性の高さが挙げられます。まず、錆びにくいという特性から、屋外や水回りなど、腐食しやすい環境で使用される製品に最適です。また、強度が高く、長持ちするため、耐久性が求められる製品にも適しています。さらに、清掃が容易で衛生的であることから、食品加工や医療分野など、衛生管理が重要な場面でも活躍します。美しい光沢は、高級感を演出したい製品にも最適です。そして、環境への負荷が少ない材料であることも、ステンレスが選ばれる理由の一つです。

用途について

ステンレスは、その特性を生かして、様々な分野で利用されています。例えば、キッチン用品では、シンク、包丁、鍋、フライパンなど、水回りや高温にさらされる製品に多く使用されています。建築材料では、外壁、屋根、手すりなど、屋外で風雨にさらされる箇所に使用することで、建物の耐久性を高めます。医療機器では、メス、ハサミ、ピンセットなど、衛生面が求められる器具に最適です。自動車部品では、マフラー、排気管など、高温や腐食に強い特性を生かして使用されています。産業機械では、タンク、配管、バルブなど、様々な用途に使用されています。

ステンレスの切削加工における注意点

ステンレスは耐食性、強度が高い反面、切削加工が難しい材料としても知られています。加工硬化を起こしやすく、工具の摩耗が激しいという特徴があるため、適切な加工条件や工具の選定が重要となります。

切削加工を行う際の注意点としては、まず、切削工具は、超硬合金やサーメットなど、硬くて耐摩耗性に優れた材料を使用する必要があります。切削速度は、低速で加工することで、発熱を抑え、工具の寿命を延ばすことができます。切削油は、冷却効果と潤滑効果の高いものを選定し、適切な量を使用することで、工具の摩耗を抑え、加工精度を向上させることができます。切りくず処理は、切りくずが絡まりやすいため、こまめな切りくず除去が必要です。バリ取りは、加工後にバリが残らないよう、丁寧にバリ取りを行う必要があります。

その他にも、ステンレスの種類によって、切削条件や工具の選定が異なるため注意が必要です。加工前に材料の特性をよく理解しておくことが重要です。